シルバーソルダーでバイクパーツをなんちゃってメッキしてみた!

ことの発端は、メガネのブリッジがポキンと折れたことだった。

自分で修理しようと銀ロウ付けを考えていたら、知人から「それならシルバーソルダー使えばいい」と教えてもらった。トーチもバーナーも要らない。ハンダゴテでできるとのこと。

ハンダゴテでメガネの修理って聞いたことがなかった。

そもそもハンダってまったくと言っていいほど強度なんてない。絶対にメガネをかける前に折れると思った。しかし実際に使ってみると、溶ける感じがハンダそのものでありながら、そのメガネは折れることなく使えた。

ハンダと同じようにプルンと溶けて固まるのでブリッジの幅より盛った感じになる。そのせいもあって強度的には強くなる。でもハンダをいくら盛ってもそんな風にはもたない。

そのシルバーソルダーがこれ!

普通にホームセンターで売られていて8ドルくらい。でもこれにはシルバーソルダーとは書いてなくて、スペシャリティー・ソルダーキットとなっている。

用途はサーキットボード、メガネ、ジュエリーと記載されている。

一般的に「シルバーソルダー」と言われているだけで、銀ロウとは別物らしい。どんな合金なのか調べてみたが、はっきりした記述はなくて、銀が数パーセント含まれているらしい。

 

キットといってもコイル状になったシルバーソルダーとフラックスが入っているだけ。溶ける温度は221℃と記載されている。無鉛ハンダの融点が210℃前後らしいので、少し高めで溶けるということ。でも実際に使ってみるとそんな差は感じられない。

 

まず試しに、亜鉛メッキされた木工金具のフランジ部をカットしたので、そのむき出しのエッジ部分にシルバーソルダーをのせてサビを防止したいと思う。

 

オロナインみたいなフラックスをエッジ周りに塗布する。

 

それをハンダゴテで熱しながら伸ばすとこんな風に丸みを帯びてエッジを覆ってくれる。

 

あっと、説明が前後してしまった。

これは、フランジ型のブッシングが必要だったので、ホームセンターで売っている木工用のナットを買ってきて、ツメとその周りを削り落としたもの。今回はこのエッジ部分にサビ止めした。

 

ではバイクパーツに「なんちゃってメッキ」を試みる。

「袋ナットの一つや二つくらい新品を買え」とツッコミが入ると面倒なので説明しておきたい。普通、プロショップとかでレストアベースの古いパーツを再メッキする際は、バイクや車一台分くらいをまとめてメッキ屋にもっていく。

ただ個人的に趣味でレストアする場合は、さすがにメッキ屋までもっていくのも気が引けるし、費用的にも無理がある。また銀色にペイントするのも違和感があるわけで、何か良い方法がないかと模索していて今回のこの試みにいたる。

もしうまくいけば他のパーツにも拡大していきたい。

話のもとにもどす。これはSR500のステップを固定しているナットで、ずっと放置してきたのでずいぶんとサビが進んでいる。比較するために今回の対象は上側の袋ナット一個だけとなる。

 

袋ナットの内側にグリスを詰め込んで、サビ除去剤の中につけ込む。

 

サビ除去剤を使ってサビを落とす際には、何時間もつけ込んだり、人によっては何日も行なう人もいるけれど、私の場合は原液か20パーセントくらい水を足して使っている。三分ほどつけたのちワイヤーブラシでこするという作業をなんどもくり返す。

 

「サビ除去剤→ワイヤーブラシでゴシゴシ」を30分くらい繰り返すとここまで落とせる。さっそくシルバーソルダーをのせてみたい。

 

しかし、いざシルバーソルダーをのせようとしたらうまくいかなかった。狭くて小さいエリアならキットの中にあったフラックスでうまくいったが、面積が広いと全くと言っていいほどくっつかない。

それで別のメーカーの液体フラックス(写真右側)を使ってみたらすんなりいけた。ちなみにこの商品の評価をみたらペースト状のフラックスはダメだというフィードバックが幾つか残されていた。

 

というわけで液体のフラックスを使ったら、ナット全体にいともカンタンに広がった。しかしメッキと言うには無理があるほどデコボコしている。

 

それでもすぐに問題は解決した。

キッチンのコンロで全体を熱しながら、シルバーソルダーが溶けた瞬間にスカッチブライトで余分な分を取り除くとこんな感じになる。(表面には薄い皮膜が残る)

 

それってサビを取り除いただけのものと思われるかもしれないので、反対側にまだシルバーソルダーが膨らんだように残っているのを見れば納得できると思う。念のため、この部分ももう一度コンロで熱してスカッチブライトで取り除くことができる。

 

「なんちゃってメッキ完了」クロムメッキには適わないが、亜鉛メッキよりは銀色に輝いている。

当然だけど取り付ける場所が221℃を超えると溶け出すので、エンジン周りには使えない。しかしフレームや外装まわりなら十分使える。あとはどれくらいの防錆効果があるかどうかだが、引き続きこのブログで研究を続けていくことになる。

むかし、車をぶつけてへこんだボディーの修理には、その部分を丸ごとハンダで埋めていたそうだ。埋めるか薄い皮膜をつくるかの違いではあるが、鉄材の上に別の金属を溶かして覆う方法は同じと考えている。

 

 

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