時間の流れに取り残されたとってもローカルなフラボブ空港【後編】
大きく開いたハンガーの前にリカンベントバイクが一台。これで空港内を移動したり、時にはランウェイ横を思いっきり疾走したりするのだろうか。それにしても人の気配がないのだけど、こんなに開放的にしていて大丈夫なのかと余計な心配をする。
以前、空港フェンスの外から飛行機を撮影していたら警備員に取り囲まれたり、空港カウンターでカメラを構えただけで、ポリスマンから職務質問を受けたことがあった。(さらにはFBIによる追跡調査まで)
今、私は滑走路のすぐ側に立っている。警備員らしき人はいないし、パトカーも見当たらない。飛行機のこんな近くにいても、誰にも文句を言われず歩き周っているのが不思議である。
大きなプロペラ機の周りをぐるりと歩く。ときどきアスファルトに熱せられた風が体を通り過ぎていく。
まだ昼前だけど、このあたりは荒野なので温度がどんどん上がってくる。少し翼の影で休ませてもらう。
しばらくして、岩山の手前を大きく旋回してきた飛行機がグライダーのように高度を下げてきた。機体が左右に揺れ、芝生の上を軽くバウンスして着陸する。
滑走路の端から戻ってきたその飛行機は、全身が銀色の美しい機体だった。カメラを向けるとパイロットは小さくうなずき、乾いたエンジン音を残して目の前を通りすぎて行った。
滑走路をさらに西へ歩く。ここは空港と言うより公園のような雰囲気さえ感じる。
なんの意味なのか分らないが、ブルーのサインと緑の芝生が印象的なので写真におさめる。
滑走路脇には幾つもの飛行機が並べられていて、もう二度と飛べないような機体があったり、見た目は古いがまだ現役で飛んでいるような機体もある。どの機体も一様にオーナーが迎えに来るの待っているように思えた。
ランチタイム時になりさらに気温が上がってくる。夏が終わってもまだまだ南カリフォルニアは暑い。
道端に捨てられた機体は、元の形が想像できないほど朽ち果てていた。フレボブ空港は現代的なエアポートとは少し時間の流れが異なるように思える。戦前の雰囲気が残っていたり、ロカビリーや80年代のポップな曲がどこからか聞こえてくる不思議な場所だった。また訪れたいと思う。