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「グオン グオン グオン」飛行船のエンジン音だと思いカメラをかかえて外に飛び出す。空を見上げると細い飛行機雲が見えるだけ。

「グオン グオン グオーン」なんだ木の粉砕機の音か、それにしてもよく似ている。もう一度飛行機雲を見上げるとちょうど真上を通りすぎる頃で、せっかくだからと望遠レンズでのぞいてみた。

思いっきり800mmまで引きよせる。

こんな風に飛行機を見たことなんてない。尾翼の後ろに雲が湧き上がるのが手に取るように見える。それは雲を吐き出すというより、空に置いているよう。

この感覚ってどこかで体験したことがあった。そうそうライン引きの石灰に似ている。運動会のグランドが頭をよぎる。

グランドのライン引きって、どういう訳かスポーツの得意な生徒か学級委員のように目立つ子がやるものだった。一度はやってみたいなとぼんやり立っていたら「そこのキミこれやって」とまさかの天の声。

はじめてグランドに白くて太い線を引いた。

白い粉が地面に落ちるだけなんだとあたり前ではあるが楽しい作業だった。ふり返るとまっすぐに引いたつもりでも蛇行している。でも先生は気にしているようでもなかった。

「なんだ誰にでもできるじゃん」

ずいぶんとむかしの話だ。気がつけば飛行機はレンズで追えないほど遠くに行ってしまっていた。澄み切った空はいつもより青く高い。