古い一眼レフカメラを持ち出してみたら撮り歩きが楽しくなった!

姉と姪が日本からやってきて、その姪の行動から写真について考えさせられる事があった。

姪はせっかくアメリカまでやってきたのに、今時の何でも写真を撮りたがる女子とは異なりカメラも持たず、かといってスマホを取り出すわけでもない。たまに料理の写真を撮ったりはするが、カリフォルニアの風景もセルフィーも撮らない。

しかしかなりの旅行好きで日本国内はもとより東南アジアは序の口で、一人でスイスやドイツにも行っている。今回もカリフォルニアだけではなくセントルイスへも出かけた。それらはパックツアーではなくて、基本的に自分で手配するというから驚いた。

それでやっぱり写真はあまり撮らないらしくて、じゃあ旅先でどう過ごしているかと聞くとイベントを楽しんだり、ただ街を歩いたり、飛び込みのレストランで色々な料理に挑戦しているとのこと。外国での失敗や思い出話しを聞いていると、なるほど旅そのものを楽しんでいるのかと関心した。

それは自分の頭を後ろからひっぱたかれた感覚だった。

そうだ20代の頃は旅そのものが楽しかった。もちろん写真を撮ってはいたけれどそれは行動の記録のようなものだったし、今のようなネットのなかった時代だったから、知らない誰かに見せるという考えもなかった。写真を撮るためにどこかに出かけたと言う記憶も数回しかない。

いつから写真を撮る目的で出かけることが多くなったのだろう。デジカメだと何枚撮ってもただなので、つい嬉しくて大した用事もないのに出かけたりしていた。確かその頃からブログを始めたりもした。しかし出かけた先で自分は旅行そのものを楽しんでいただろうか。振り返れば、写真を撮りながらブログに何を書こうかと悩んでいたり、時には興味もないのにパンフレットや資料を探していたりする。

なんか面倒な事しているなと思う。そんなわけで昔のフィルムカメラを引っ張りだして来た。

 

アタッシュケースを開けるとカメラと交換レンズ、そしてずっと前に買ったフィルムが使われる事もなくに押し込められている。それにしても重い。このケースに入っている全ての機能が、デジカメ一台に備わっているのを考えると思わずため息が出てしまう。

 

これはイーベイから20ドルで買ったオリンパスOM-PC(OM-40)

直線的なブラックボディがけっこう気に入っている。これに50ミリレンズをつけて出かけてみようと思う。フィルムは24枚撮りが一本だけ。あえてデジカメは持っていかない。

 

バーゲン価格で10年以上も前に買ったウォルマートのフィルムだけど、まだ使えるだろうか。

 

「えーっと、えーっと」なんだかフィルムを入れる手元がぎこちない。

 

た、確かこうだったよね。

 

設定はプログラムモードを選んでおいてシャッターを切るだけにしておく。ピントあわせはあたりまえに手で行い、24枚を撮ってしまえばその日の撮影は終了となる。(あえて縛りを作った)

 

フィルムカメラの撮影開始

ロフトに佇むネコのトトロ

これより先は、フィルムカメラのオリンパスPCで撮影した画像となる。ブログの記事として連続して書いてはいるけれど、写真を撮ったあとは写真屋さんで現像してもらい、それからネガをスキャンするので実際は一週間以上の時間差が発生している。自作のフィルムスキャナーの記事はこちら!

 

今回出かけてきたのは、南カリフォルニアのサンタアナ市にあるオレンジ・プラザ・スクウェアーと呼ばれる古い通り。この写真はスマホアプリの「ストリート・ビュー」を使って撮影した360°画像をグーグルマップに投稿したもの。

 

この街はアンティークショップが軒を連ねていて全米からもたくさんの人が訪れる。そしてディズニーランドからも近いので外国人の観光客も多い。もちろんずっと昔から続けている店もあるので地元の人でもにぎわっている。私もこの街が気に入っていて撮り歩きにも絶好の場所と言える。

 

街の中心にはロータリーがあって、その周りにカフェやピザ、サンドイッチの店などが並んでいる。最初は50mmレンズだけなので被写体との距離感がつかめなくて戸惑ってしまった。でもそのうちに慣れてきて自然と自分の体を前後に移動させて撮るようになっていた。しかしズームがないと不便なのだと実感する。

 

こちらはアンティークショップがレストランの入り口になっている変なお店。

 

そのアンティークショップのショーウィンドーに並んだコカコーラの古いおもちゃ。

 

こちらは宝石店に飾られたマリリンモンローのフィギュアとたまたま窓に写りこんだセルフポートレートな写真。今回24枚の中でこの一枚がとても気に入っている。

 

70年代のテレビドラマに出てくるようなミニのワンピースが店先で愛嬌をふりまいている。

正面から歩いてくる女性をもっと手前まで待ってからシャッターを切りたかったが、これまたタイミングがうまく取れず、また変質者と思われるのも怖いので中途半端な写真となってしまった。機械カメラはシャッターの音が大きくて周りに遠慮がちで、やっぱりデジカメでさりげなく五枚くらいは撮りたかったとぼやく。

 

ランチタイムの終わったレストンの中から食器を片付ける音が聞こえてくる。イスと壁に反射する照明が印象的だった。

 

メインストリートから外れて裏道を通り抜ける。ケーキ屋さんにある作りかけのデコレーションをファインダー越しにぼんやり見つめる。

 

レンガに囲まれたコートヤードの風景。人が向こうから近づいてくるとやっぱり慌ててしまいピントあわせがおろそかになる。

 

こちらはタイレストラン前のベンチに腰掛けておしゃべりする女性二人。午後の時間はゆっくりと流れている。

 

店先で「やるなら後でしょ」とさりげなく主張するナマケモノについ足を止めた。

 

昔の洋画で見たような階段を見上げる。なにか恋愛ストーリーでも始まりそうな雰囲気があるなと勝手に妄想。

 

いつの時代だろうかと錯覚してしまった。フィルム写真だとトーンが弱くて気持ちまで過去形になってしまう。

 

このピザ屋も2012年の開店だけど、気分的には80年代のように感じるのはこの街が古いからというわけでもない。

 

こちらは日本食レストンの入り口に並んだカラフルなこけし。色の組み合わせがいいなとシャッターをきる。日本にある商店街の雰囲気を漂わせているのは気のせいだろうか。

 

これも例えば、パンタロンを履いたヒッピーが前を通り過ぎてもぜんぜん違和感のないカフェの風景。

 

最後の一枚はモノトーンの写りを確認しておきたくて、白く塗られたレンガの壁に向かってシャッターを切った。

二時間くらいの街歩きだったけれど、あっと言う間のような気がする。何度もカメラを構えては、ファインダー越しに通りや人を見つめそしてやめた。でもそれはとても印象的でしばらくは忘れないだろう。しかし24枚と言うのはデジカメと比べると極端に少ない。

でも一方で、24枚くらいでもいいんだなとも感じている。

最近フィルムカメラを見直す人が出てきたらしい。それは例えば撮影の基本に戻るとか、一枚一枚を真剣に撮るためのようだけど、私は少し違うような気がしている。

写真を上手に撮る事を目的とするのではなく、ファインダー越しの風景に出会い、散策そのものを楽しめればそれでいいやと思う。どこかいさぎよいフィルムカメラは、撮り歩きにピッタリの相棒でもあった。

 

気になるフィルム写真の費用

「上手に写真とれたかにゃ」とトトロが見上げる

写真を撮り終えた帰り道、家でゆっくり見てみようとついバカな勘違いをしていた。あらためて現像しなくちゃいけない現実に引き戻される。

さてその費用は、まずフィルム一本がおよそ3ドルくらいで現像は6ドルである。24枚だと一枚あたり37.5セントとなる。日本円だと40円くらい。もしプリントを頼んだ場合は一枚あたり70円になる。

どうだろうか、デジカメだと100枚とか普通にシャッターを切っているので、同じ感覚で撮ってしまうとそれだけでお金がいくらあっても足りない。フィルムカメラは中古で安く手に入っても意外と高級な趣味なのだ。これからもサイフと相談しながら上手につき合っていきたい。

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